中小企業の後継者不足が深刻化するなか、事業承継の手段としてM&Aを検討する経営者が増えています。
しかし「どのM&A仲介会社に相談すればよいのか分からない」「大手だから安心とは思うけれど、実際のサービス内容や費用感がつかめない」と迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、業界最大手として知られる日本M&Aセンターを取り上げ、サービスの中身や特徴、料金体系、評判の傾向までを整理しながら、事業承継市場全体の広がりとあわせて分かりやすく解説していきます。
これからM&Aによる事業承継を検討する方が、自社に合った選択をするための判断材料としてお役立てください。

■日本M&Aセンターとは?

まずは日本M&Aセンターがどのような会社で、どんな役割を果たしているのかという基本情報から確認していきましょう。
会社の成り立ちを知ることで、サービス全体の理解が深まります。

基本概要

日本M&Aセンターは1991年に設立された、中堅・中小企業のM&Aおよび事業承継支援を専門とするM&A仲介会社です。
全国の公認会計士・税理士のネットワークを母体として誕生した経緯があり、現在では株式会社日本M&Aセンターホールディングスの完全子会社として東証プライム市場に上場しています。
創業から30年以上にわたり事業承継という社会課題に向き合い続けており、累計成約実績は1万件を超える規模に達しています。
M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の年間取扱件数では複数年連続でギネス世界記録に認定されるなど、業界内での実績量は他社と比較しても突出した水準にあるといえるでしょう。
全国の地方銀行の約9割、信用金庫の約8割、そして1,000を超える会計事務所と提携し、国内でも有数の規模を誇るM&A情報ネットワークを築いている点も見逃せない特徴です。

どんな課題を解決するサービスか

日本M&Aセンターが解決を目指しているのは、突き詰めれば「後継者がいないために、価値ある会社や事業が消えてしまう」という課題です。
経営が順調であっても、親族や社内に引き継ぐ人材がいなければ、経営者の引退とともに廃業を選ばざるを得ないケースが少なくありません。
従業員の雇用や取引先との関係、長年培ってきた技術やブランドといった経営資源は、後継者不在という一点によって失われてしまう可能性があります。
日本M&Aセンターは、こうした譲渡側の経営者と、事業拡大や新規事業の足がかりを求める譲受側の企業とをマッチングすることで、双方にとって納得感のある形での事業承継を実現しようとしています。
単なる仲介にとどまらず、成約後の経営統合まで見据えた伴走型の支援を行う点が、この会社が担う役割の核心といえます。

主な利用シーン

利用シーンとして最も多いのは、経営者の高齢化にともなう第三者承継の検討です。
親族内に後継者がいない、あるいは社内に経営を任せられる人材が育っていないといった状況で、会社を存続させる手段としてM&Aを選ぶケースが典型例です。
また、単独では十分な事業規模や販路を確保しにくい中小企業が、大手企業や同業他社の傘下に入ることで経営基盤を強化したいと考える場合にも利用されています。
さらに、複数の事業を展開する企業が一部の事業だけを譲渡し、経営資源を主力分野に集中させたいという成長戦略の一環として活用されることもあります。
業種としては建設業や医療・介護、サービス業、製造業など幅広い分野で実績があり、業界特有の商習慣に応じた専門チームが対応する体制が整えられています。

■日本M&Aセンターの特徴

続いて、日本M&Aセンターならではの特徴を、機能面・使いやすさ・サポート体制という3つの角度から詳しく見ていきます。

機能面の特徴

機能面での大きな強みは、業界特化型の専門チーム体制と、豊富なデータに基づく企業評価の仕組みです。
建設業であれば入札制度や下請け構造、医療・介護であれば許認可や診療報酬の仕組みなど、業界ごとに異なる取引慣行を熟知したコンサルタントが担当につくため、実務に即した提案を受けやすくなっています。
加えて、グループ会社である企業評価総合研究所が監修した株価算定シミュレーションを提供しており、決算書を手元に用意していなくても、いくつかの項目を入力するだけで短時間のうちに自社の企業価値の目安を把握できます。
算定結果には根拠となるデータの解説も表示されるため、感覚的な数字ではなく、客観的な材料をもとに交渉に臨める点も実務上のメリットといえるでしょう。

使いやすさの特徴

使いやすさという観点では、無料の個別診断から着手できる点が挙げられます。
簡易的な企業評価や売却可能性の検討、同業界におけるM&A事例の紹介などを、正式契約の前段階で受けられるため、いきなり大きな費用負担を強いられる心配をせずに検討を始められます。
また、全国7拠点・海外にも複数の拠点を構えており、地方の中小企業であっても対面での相談機会を得やすい体制が整っています。
加えて、シンガポールやベトナムなど海外拠点を活用したクロスボーダー案件への対応も可能であり、国内だけにとどまらない譲受候補を検討したい企業にとっても選択肢の幅が広がる仕組みになっています。

サポート体制の特徴

サポート体制の面では、成約後を見据えた長期的な伴走姿勢が際立っています。
企業調査や資料作成、企業概要書の作成、マッチング先の選定といった成約前のプロセスはもちろんのこと、成約後の経営統合、いわゆるPMIの支援にも力を入れています。
金融機関出身のコンサルタントが多数在籍しているため、資金調達や金融機関との調整が必要な場面でも専門的な助言を得やすい環境です。
さらに、成約を「新しい門出」と位置づけ、譲渡企業の経営理念や歴史を記録し次代に継承する取り組みや、譲渡オーナーのその後の人生設計を支援するサービスまで用意されており、単発の取引仲介にとどまらないサポートの厚みが感じられます。

M&A,事業承継

■日本M&Aセンターの料金・プラン

料金面は経営者にとって最も気になるポイントの一つです。
ここでは基本的な費用構造と、確認しておきたいコストの見方を解説します。

基本プラン

日本M&Aセンターの料金体系は、一般的なM&A仲介会社と同様に「着手金」「中間報酬(中間金)」「成功報酬」という3段階で費用が発生する仕組みを採用しています。
着手金は、譲渡側であれば企業調査や資料作成の開始時点、譲受側であれば本格的な情報提供が始まった時点で発生します。
中間報酬は基本合意の締結時点で支払うのが一般的です。
そして成功報酬は、最終的にM&Aが成約した際に支払う費用であり、多くの場合は譲渡価格に応じたレーマン方式と呼ばれる計算方法で算定されます。
着手金や中間金を設定していない仲介会社も存在するなかで、日本M&Aセンターは「双方に着手金を負担してもらうことがM&Aへの本気度を高め、良質なマッチングにつながる」という考え方のもとで、この料金体系を採用しています。

追加費用の有無

基本の3段階の費用に加えて、オプションサービスとして追加費用が発生するケースもあります。
たとえば、より詳細な事業承継診断や成長戦略コンサルティング、企業評価総合研究所による本格的な株価算定などは、無料診断の範囲を超えるオプションとして案内されることがあります。
また、着手金や中間報酬の具体的な金額は案件の規模や内容によって個別に見積もられる場合が多く、一律の金額が公開されているわけではありません。
そのため、相談の初期段階でどの費用がどのタイミングで発生するのかを丁寧に確認し、認識のずれが生じないようにしておくことが大切です。

コスト感を見るときのポイント

コストを比較する際に意識したいのは、単純な手数料の高低だけで判断しないという視点です。
着手金や中間金が発生する分、初期段階からの費用負担は相対的に大きくなりますが、その分だけ豊富な実績と情報ネットワークに基づく手厚いサポートを受けられるという側面もあります。
逆に、完全成功報酬型を掲げる仲介会社は初期費用を抑えられる一方で、案件へのコミットメントの深さやサポートの手厚さに差が出る可能性も考えられます。
自社にとって重視したいのが「初期費用の低さ」なのか「実績や体制の手厚さ」なのかを整理したうえで、複数社の料金体系と支援内容をあわせて比較検討することが、納得のいく選択につながります。

■日本M&Aセンターの評判・口コミの傾向

実際に利用した経営者の声からは、どのような評価が見えてくるのでしょうか。
良い点と気になる点の両面から傾向を整理します。

評価されやすい点

評価されやすい点として多く挙げられるのは、業界最大手ならではの実績量と情報ネットワークの広さです。
地方銀行や信用金庫、会計事務所との提携数が多いことから、他社では出会えないような幅広い譲受候補を紹介してもらえたという声が見られます。
また、士業出身のスタッフによる契約書面のチェック体制が手厚く、譲渡後に想定外のトラブルが発覚するリスクを抑えられたと感じる利用者もいます。
同業種だけでなく異業種の企業とのマッチングを提案してもらい、想定していなかった相乗効果のある譲渡先に出会えたという評価も見られ、コンサルタントの提案の幅広さを評価する声が目立ちます。

気になりやすい点

一方で気になりやすい点としては、着手金や中間報酬が発生する料金体系そのものが挙げられます。
完全成功報酬型のサービスと比較すると、成約に至らなかった場合でも一定の費用負担が生じる可能性がある点は、あらかじめ理解しておく必要があります。
また、大手ゆえに案件数が多く、担当コンサルタントによって対応のきめ細かさに差を感じたという声も一部で見られます。
企業規模が小さい案件では、より小規模な仲介会社のほうが柔軟に対応してもらえたと感じるケースもあるようです。

導入前に確認したい点

導入前には、担当コンサルタントの業界知識や過去の類似案件の実績を具体的に確認しておくことをおすすめします。
無料の個別診断を活用し、自社の企業価値の目安や譲渡の可能性について、契約前にどこまで具体的な情報を得られるかを見極めるとよいでしょう。
また、着手金や中間報酬が発生するタイミングと金額の見積もり根拠についても、契約前の段階でしっかりと説明を受け、書面で確認しておくことが後々のトラブル防止につながります。

■日本M&Aセンターが向いている人

最後に、どのような経営者に日本M&Aセンターが適しているのか、そして比較検討が必要になるケースについて整理します。

おすすめできるケース

日本M&Aセンターは、まず自社の企業価値をきちちんと把握したうえで、業界特有の事情に精通した専門家とともに、国内外を問わず幅広い譲受候補のなかから将来を見据えた事業承継先を探したいと考える経営者に向いています。
特に、地方都市などの地域経済を支える中堅企業で、時間をかけてでも納得できる譲渡先を見つけたいというニーズを持つ場合には、豊富なネットワークと丁寧なヒアリング、成約後のPMI支援までを一貫して依頼できるメリットが大きく発揮されます。
手数料が相対的に高くなったとしても、実績と信頼性を重視したいという企業にも適した選択肢といえるでしょう。

別サービス比較が必要なケース

一方で、初期費用をできる限り抑えたい小規模事業者や、着手金の負担なくスピーディーに話を進めたいと考えている経営者は、完全成功報酬型を掲げる他社サービスともあわせて比較検討する価値があります。
また、特定の地域や業種に強みを持つ地場のM&A仲介会社のほうが、より密着した支援を受けられる場合もあります。
事業承継・引継ぎ支援センターなど公的機関の相談窓口を併用しながら、複数の選択肢を比較したうえで最終的な依頼先を決めることが、後悔のない事業承継につながります。

■よくある質問

日本M&Aセンターの利用を検討するにあたり、よく寄せられる疑問点についてまとめました。

無料で使える?

正式な仲介契約を結ぶ前の段階であれば、無料の個別診断を利用できます。
簡易的な企業評価や売却可能性の検討、同業界のM&A事例の紹介などを、費用をかけずに受けられるため、まずは自社の状況を把握する目的で気軽に相談を始めることが可能です。
ただし、正式に仲介を依頼する段階に進むと、着手金をはじめとした費用が発生する点には注意が必要です。

サポートはある?

成約前の企業調査や資料作成、マッチング候補の選定はもちろん、成約後の経営統合支援まで一貫したサポート体制が用意されています。
金融機関出身のコンサルタントによる資金調達や金融機関との調整支援、士業チームによる契約書面のチェックなど、専門性の高いサポートを受けられる点が特徴です。

導入までどれくらいかかる?

案件の内容や規模によって差はありますが、依頼から成約までの期間は平均して半年前後が一つの目安とされています。
企業調査や資料作成、候補企業とのマッチング、交渉、最終契約という一連のプロセスを経るため、短くても数か月単位の時間がかかるのが一般的です。
早期の成約を希望する場合は、AIを活用したマッチングの仕組みを整えているサービスと比較してみるのもよいでしょう。

■まとめ

日本経済全体で経営者の高齢化が進むなか、後継者不在に悩む中小企業は今なお少なくなく、事業承継の手段としてM&Aを選ぶ動きは今後もさらに広がっていくと考えられます。
日本M&Aセンターは、こうした市場の草分け的な存在として、豊富な実績と全国規模の情報ネットワーク、そして成約後の経営統合までを見据えた手厚いサポート体制を強みにしています。
着手金や中間報酬が発生する料金体系である分、初期段階からの費用負担はある程度発生しますが、その分だけ質の高いマッチングと専門的な支援を受けられる可能性が高まります。
自社の状況や重視したいポイントを整理したうえで、無料の個別診断などを活用しながら、他のサービスともあわせて比較検討してみてはいかがでしょうか。
納得のいく事業承継を実現するための第一歩として、本記事が判断材料の一つになれば幸いです。